NEWS
2023.04.26 お知らせ 研究業績

連携講座大学院生の博士学位取得

(令和5年3月24日)

 弊財団は、人材育成事業の一環として、神戸大学大学院工学研究科応用化学専攻に連携講座・生物機能工学(教授・佐竹炎主幹研究員、准教授・村田佳子特任研究員)を有しています。同連携講座の博士後期課程に令和2年に入学された、大日本除虫菊株式会社(KINCHO)様の社員、山城敬範さんが3月23日付で神戸大学博士(学術)を授与されました。博士論文の研究題目は、「除虫菊類のゲノムや有用物質生合成酵素の生物情報基盤構築に関する研究」で、令和2年4月から令和5年3月まで博士論文研究に取り組みました。

学位記とともに。

同氏の研究では、蚊取り線香の主成分であるピレトリンの原料植物である除虫菊のドラフトゲノム、除虫菊の近縁種でありながらピレトリン生産が著しく低いアカバナムシヨケギクのドラフトゲノム解読と除虫菊との比較ゲノム解析、および、ピレトリン生合成の鍵酵素であるTciGLIPの、ピレトリン合成に必須のアミノ酸残基のin silico解析による特定を行いました。

 入学早々から新型コロナの影響で研究する時間が大幅に制限されたにもかかわらず、当財団の研究員と良好な関係を築き、短期間でゲノム解析やタンパクの統計学的・計算科学的解析手法を習得し、重要な成果を挙げて3本の原著論文を筆頭著者として公表し、3年間で学位を無事取得できました。博士論文に含まれる原著論文は下記の通りです。

【発表論文】

Yamashiro T.*, Shiraishi A.*, Satake H., Nakayama K. (2019) “Draft genome of Tanacetum cinerariifolium, the natural source of mosquito coil.” Sci Rep. 9(1), 18249. [DOI] (*, equal contributors.) open access

Yamashiro T., Shiraishi A., Nakayama K., Satake H. (2022) Draft Genome of Tanacetum Coccineum: Genomic Comparison of Closely Related Tanacetum-Family Plants. Int J Mol Sci. 23(13), 7039. [DOI] open access

Yamashiro T., Shiraishi, A., Nakayama K., Satake H. (2022) Key amino acids for transferase activity of GDSL lipases. Int J Mol Sci. 23(23), 15141.[DOI] open access

 今回の取り組みは、弊財団所員と山城さん双方にとって大変有益でした。今後の山城さんのますますのご活躍と大日本除虫菊株式会社様のご発展を所員一同お祈り申し上げます。

NEWS TOP